研究課題/領域番号 |
08670061
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
岡田 隆夫 順天堂大学, 医学部, 講師 (00146763)
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研究分担者 |
渡邉 マキノ 順天堂大学, 医学部, 助手 (00255655)
大地 陸男 順天堂大学, 医学部, 教授 (10049025)
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キーワード | 低酸素灌流-再酸素化 / 一酸化窒素 / アシドーシス / アルギニン |
研究概要 |
ラット心臓を摘出し、大動脈にカニューレを挿入してランゲンドルフ灌流モデルを作成した。加温・酸素化したクレブス液を一定の流量で灌流し、左心室腔内に挿入したバルーンを介して左心室内圧、心拍数を、カニューレの側孔において冠灌流圧を測定した。また、心臓を灌流して滴下する灌流液中のプロスタグランディン、一酸化窒素(NO)を定量した。心臓を40分間の低酸素灌流の後、再酸素化を行うと収縮機能は次第に回復したが、冠血管は収縮し、冠灌流圧は次第に上昇した。この時、プロスタサイクリン遊離は増加していたが、NO遊離は減少していた。そこでNO遊離を増加させる目的でNOの基質である3mM1-Arginineを投与したところ、NO遊離は逆に減少した。再酸素化時にはアシドーシスとなっている可能性があるため、次にNO産生に対するpHの効果を検討した。正常pHで3mM1-Arginineを投与するとNO遊離量は5.4±0.8から13.2±3.5nmol/min/gに増加した。灌流液のpHを正常の7.4から6.9に低下させると、NO遊離量は8.9±2.0nmol/min/gに増加したが、ここで3mM Arginineを投与すると遊離量は0.4±0.2nmol/min/gへと著明な減少を示した。d-Arginineにはこのような抑制効果は認められなかった。1-ArginineによるこのようなNO産生抑制効果は1-Arginineの投与量に依存しており、またアシドーシスの程度にも依存していた。以上のように酸性環境下においては基質である1-Arginineでも外部から投与された場合は他のArginine analogueと同様にNO産生を抑制する可能性が示唆された。
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