研究概要 |
1 下垂体前葉細胞の無血清培養系がプロラクチン産生細胞の増殖を検定するのに適しているかを調べた。培地に10nMのエストラジオールを添加すると、インスリン低濃度の条件下ではプロラクチン産生細胞の増殖が促進されたが、インスリン高濃度下では逆に抑制された。また、10uMのドーパミンを添加すると、インスリン濃度に関係なくプロラクチン産生細胞の増殖が著明に抑制された。 2 本研究においてプロラクチン産生細胞増殖促進作用を調べた視床下部ペプチドは甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、luteinizing hormone releasing hormone(LHRH),vasoactive intestinal peptide(VIP)、オキシトシンであった。LHRHは調べられた濃度の範囲内ではプロラクチン産生細胞の増殖に対して影響はなかった。TRHは予想に反して抑制的に作用することが明らかになったが、無血清培地に0.1%牛血清アルブミンを添加した培養条件下では予想通りTRHは100pMの濃度でプロラクチン産生細胞の増殖を促進することがわかった。しかし、牛血清アルブミン添加無血清培地でさらにVIP、オキシトシンの作用を調べたが、10^<-6>-10^<-12>Mの濃度の範囲では効果は認められなかった。 3 視床下部ホルモンのプロラクチン産生細胞増殖促進作用のsecond messenger分子と考えられるcyclic AMPの細胞内作用機序に関しても検討した。細胞内cyclic AMP増加によってプロラクチン産生細胞の増殖も促進され、これはかなりの部分mitogen-activated protein kinaseに依存していた。また、このcyclic AMPの促進作用は抑制性視床下部ホルモンのドーパミンのアゴニストであるbromocriptineでは抑制されなかった。
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