研究概要 |
本研究では、慢性ストレス曝露した動物について行動・睡眠・血中ホルモン濃度を調べ、リズム特性を解析することにより、視交叉上核の持続性もしくは不可逆的な機能障害の可能性を検討し、加えて種々のストレスに関連した行動異常の有無を検討した。慢性ストレスには、コミュニケーションボックスによる電気ショックストレス(FS群)、心理的ストレス(NFS群)および拘束ストレス(Immo群)を用いた。 1)血漿グルココルチコイド濃度:血漿グルココルチコイド濃度は、いずれのストレス群も次第にサーカデイアンピークが低下し、日内リズムは不明瞭化する傾向を示した。 2)行動量、摂食量・飲水量:いずれのストレス群も24時間のリズムは明瞭であり、明期に比べ暗期に行動量・摂食量・飲水量が増加した。Control群と比べリズム特性に有意差は認められなかった。 3)体温:いずれのストレス群も24時間のリズムは明瞭であり、明期に比べ暗期に体温が上昇する。FS群、Immo群については、Control群との間に有意差は認められなかったが、NFS群については有意に高体温であり、mesorも有意に高値であった。ただしamplitude,acrophseには有意差は認められなかった。 4)血漿メラトニン濃度:Control群、Immo群ともに、いずれの時期においても夜間上昇する明確な日内リズムを示し、2群間に有意差は認められなかった。 5)睡眠-覚醒リズム:Control群、Immo群いずれも、Slow wave sleep,Paradoxical sleepの出現率は、明期に増加する明瞭な日内リズムを示し、2群間に有意差は認められなかった。 以上より、1)コミュニケーションボックスあるいは拘束による慢性ストレス曝露により、老化にともなう視交叉上核の障害は再現できない、2)心理的ストレスによる高体温は持続する、ことが示唆された。
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