研究課題/領域番号 |
08670134
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
寺田 邦彦 秋田大学, 医学部, 講師 (60197796)
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研究分担者 |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
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キーワード | アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / ウィルソン病 / LECラット / ゴルジ装置 / セルロプラスミン / 銅輸送P型 ATPase |
研究概要 |
【目的】肝臓に銅が異常蓄積することで知られているウィルソン病の原因遺伝子として、WND(ATP7B)遺伝子がすでにクローニングされ、その産物として、銅輸送P型 ATPaseが推定されているが、その生体内での機能は明らかにされていない。また、ウィルソン病のモデル動物であるLECラットでは、この遺伝子に異常があるために、肝臓に銅が蓄積し、肝炎・肝がんを発症することが知られているが、肝臓からの銅排出に、このWND蛋白がどのように関わっているかは明らかにされていない。そこで、我々は、アデノウイルスをベクターとした遺伝子導入法を用いて、WND遺伝子をLECラットの肝臓に導入し、WND蛋白の肝細胞内での局在および機能を解析した。【方法】COS-TCP法により、完全長のWND cDNAをアデノウイルスベクターに組み込み、1×10^<10>pfuの組換えアデノウイルスをLECラットの尾静脈より投与した。WND蛋白の発現は、免疫蛍光抗体法・ウェスタンブロット法により、血中のホロセルロプラスミンは、非変性アクリルアミド電気泳動法・ウェスタンブロット法により検討した。銅含量は、原子吸光計にて測定した。【結果】WND蛋白の肝臓内での発現は、ウイルス投与後1日目で見られ、3日目で最大となり、徐々に減少し10日目まで続いた。また、WND蛋白は、ゴルジ装置に局在していることがわかった。血中への銅の排出は、ホロセルロプラスミンの分泌とともに、ウイルス投与後1日目から見られ、3日目で最大となり、徐々に減少し14日目まで続いた。【考察】組換えアデノウイルスを用いた遺伝子導入によって効率よく肝臓内に発現したWND蛋白は、細胞内のホロセルロプラスミン生成過程における銅輸送系深く関与していることが示唆され、その機能を発現する場は、ゴルジ装置であることがわかった。また、組換えアデノウィルスは、ウィルソン病に対する遺伝子治療に有用である示された。
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