コチニンは、エチレンイミンによりアミノ基を導入後、ビオチン化し非競合免疫測定法により測定する。しかし、ビオチン化と同様の方法で調整したimmunogenで得られた抗体は、ビオチン化によって生じた化学構造と親和性を生じ測定の障害となっていた。そこで、ビオチン化と抗体の調整法を検討した結果、それぞれの調整に用いる化合物の反応手順を互いに変えることにより特異性が向上することが分かった。しかし、アミノ基導入の過程で生じる不用の非特異化合物が高濃度のため、低濃度(a mol)のコチニンを測定することはできなかった。そこで、この非特異化合物を種々のカラムや抗体を用い除去し、コチニンの非競合免疫測定法の高感度化を試みた。 (1)アミノ基の導入後、疎水HPLCカラムにより、ビオチン化前に過剰の非特異化合物を除去し、ビオチン化後、SEP-PAKカラム、さらに抗コチニン抗体不溶化固相にトラップ、溶出し、ビオチン化後に生じた非特異化合物を除去した。最後に、ペルオキシダーゼ標識抗コチニンFab'とアビジン不溶化固相を用いた非競合免疫測定法により測定した。しかし、疎水HPLCカラムでは、非特異化合物を選択的に除去することはできず、測定感度は1 pmolであった。 (2)アミノ基の導入後、HPLCカラムの代わりに、ビオチン化により生じた化学構造に親和性のある抗体を吸収して取り除いた抗体を不溶化させて調整した抗コチニン抗体不溶化固相にトラップ、溶出し、ビオチン化後(1)と同様に測定した。この吸収処理した抗コチニン抗体により非特異化合物が省かれ、測定感度は1 fmolに上昇した。 これらの結果より、非特異化合物を除去するには、HPLCやSEP-PAKカラムより特異抗体が有効であることがわかった。そして、今後さらに特異性と親和性の高い抗体を用いることによって、amolレベルの測定の可能性が示された。
|