研究課題/領域番号 |
08670167
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
岡野 幸雄 岐阜大学, 医学部, 教授 (10177066)
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研究分担者 |
鷲見 典子 岐阜大学, 医学部, 助手 (60273140)
木村 正志 岐阜大学, 医学部, 助手 (40260575)
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キーワード | Ubiquitin-conjugating enzyme / protein degradation / FISH / cDNA cloning |
研究概要 |
細胞内タンパク質のユビキチン(Ub)化は、細胞増殖・転写・DNA修復・受容体エンドサイトーシスなど種々の細胞機能に深く関与し、Ub化される基質蛋白質として癌遺伝子産物のMycやFos、癌抑制遺伝子のp53、成長因子受容体などが知られている。蛋白質のユビキチン化には3種の酵素が関与する。UbをATP依存性に活性化して自らとイソペプチド結合させるE1酵素(Uba)、E1酵素からUbを受け取り基質蛋白質にUbを付加するE2酵素(Ubc)、および基質蛋白質の認識に必要とされるE3酵素(Ubr)である。我々は、シグナル伝達分子の解析の過程で偶然Ub結合酵素(E2)の新規遺伝子の部分クローンを単離した。複数のcDNAライブラリーをスクリーニングし直してようやく得られた全翻訳領域を含むクローンがコードする蛋白質は、201アミノ酸からなり推定分子量22.1Kと考えられた。データベースを探索した結果、本クローンはN末端に数十アミノ酸を含むclass III E2の新規ヒト遺伝子と考えられた。報告論文中に引用された配列やEST配列との比較から、本クローンの最初のATGが開始コドンであり、UbcH8と命名した。UbcH8-GST融合蛋白質をコードする遺伝子を構築し、大腸菌に発現させてグルタチオンカラムを通して51kDaの蛋白質を精製した。UbcH8がE2酵素であることを確認するため、大腸菌に発現させてアイソトープ標識したUbおよび大腸菌に発現させたE1酵素存在下にUbcH8-GST融合蛋白質をインキュベートしたところUbcH8がUb化された大きさの位置に放射活性のバンドを認めた。このバンドは、E1酵素依存性に出現し、還元剤DTTの存在下に著明に減少した。この結果は、UbcH8がUbとイソペプチド結合したことを示しており、得られた遺伝子産物のUbcH8が機能的にもE2酵素であることが確認できた。さらに、我々は名古屋大学農学部・松田洋一博士との共同研究により、UbcH8遺伝子がヒトの第3染色体短腕24.2にマップされることをFISH法によって明らかにした。
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