1996 年度実績報告書

植物中のグリオキシル酸の前駆体の検索 -高蓚酸尿症における蓚酸生成抑制の試み-

研究課題

研究課題/領域番号	08670168
研究種目	基盤研究(C)
研究機関	浜松医科大学
研究代表者	市山新浜松医科大学, 医学部, 教授 (90025601)
キーワード	蓚酸 / グリオキシル酸 / セリン:ピルビン酸 / アラニン:グリオキシル酸トランスアミナーゼ / グリコール酸 / グリコール酸定量 / 原発性高蓚酸尿症 / 植物性食物 / チアゾリジンZ-カルボン酸
研究概要	植物には蓚酸のみならずグリオキシル酸を経て酵素的に蓚酸に酸化されるグリコール酸(光呼吸の中間体)も多量含まれている。植物を常食とする草食動物とヒトは、グリオキシル酸を良好な基質とするセリン:ピルビン酸/アラニン:グリオキシル酸トランスアミナーゼを肝臓のペルオキシソームに装備し、このオルガネラで生産されるグリオキシル酸を除去することで蓚酸生成を削減している。ヒトが尿に排泄する蓚酸の何%が植物性食物中のグリコール酸に由来するのか、調理による食物からのグリコール酸の除去で正常人および原発性高蓚酸尿症1型患者の蓚酸排泄をどの程度削減できるのかを明らかにすることを目的として本研究に着手した。本年度はその第一歩としてグリコール酸定量法を検討し、精度の高い方法の確立を試みた。その結果、グリコール酸をシステアミン存在下でグリコール酸オキシダーゼ(GO)により酵素的に酸化することで定量的にチアゾリジン2-カルボン酸(thia-2-C)に変えてからpico tagクロマトグラフィーにより検出するという手段が満足すべき結果を与えた。Thia-2-CにはD-体とL-体があり、両者は水溶液中では平衡状態にあるが、グリオキシル酸とシステアミンから調製したThia-2-Cはpico tagクロマトグラフィーにおいて市販のThia-2-Cと同一の1本のピークとして溶出されたので単純な測定系となった。感度も十分で試料中の濃度10μMまで測定可能という結果が得られた。GOによるグリコール酸の酸化の際発生するH_2O_2をペルオキシダーゼを用いて測定する方法も検討したが、GOはグリコール酸以外に乳酸とグリオキシル酸にも作用するという難点を解消できなかった。

研究成果

(6件)

すべてその他

すべて文献書誌 (6件)

[文献書誌] Ishikawa,K.: "Pyridoxal 5'-phosphate binding of a recombinant serine : Pyruvate/alanine : glyoxylate aminotransferase" J.Biochem.119・5. 970-978 (1967)
[文献書誌] Suzuki,T.: "Energy-dependent degradation of a mutant serine : pyruvate/alanine glyoxylate aminotransferase in a primary hyperoxaluria type 1 case" Intracellular Protein catabolism (Advances in Experimental Medicine and Biology,Vol.389,eds.Suzuki,K.& Bond,J.S.). 137-140 (1996)
[文献書誌] Terada,K.: "The requirement of heat shock cognate 70 protein for mitochondrial import varies among precursor proteins and depends on precursor length." Mol.Cell.Biol.16・11. 6103-6109 (1996)
[文献書誌] Naito,Y.: "Morphological analysis of renal cell culture models of calclum phosphate stone formation" Urol,Res.(印刷中). (1997)
[文献書誌] 市山新: "原発性高蓚酸尿症" Annual Review腎臓1996(長沢俊彦,河辺看目,伊藤克己,浅野泰,遠藤仁編). 232-238 (1996)
[文献書誌] 市山新: "原発性高蓚酸尿症1型" 腎と透析. 42・3(印刷中). (1997)

1996 年度 実績報告書

植物中のグリオキシル酸の前駆体の検索 -高蓚酸尿症における蓚酸生成抑制の試み-

研究代表者

市山 新 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90025601)

研究成果

[文献書誌] Ishikawa,K.: "Pyridoxal 5'-phosphate binding of a recombinant serine : Pyruvate/alanine : glyoxylate aminotransferase" J.Biochem.119・5. 970-978 (1967)

[文献書誌] Suzuki,T.: "Energy-dependent degradation of a mutant serine : pyruvate/alanine glyoxylate aminotransferase in a primary hyperoxaluria type 1 case" Intracellular Protein catabolism (Advances in Experimental Medicine and Biology,Vol.389,eds.Suzuki,K.& Bond,J.S.). 137-140 (1996)

[文献書誌] Terada,K.: "The requirement of heat shock cognate 70 protein for mitochondrial import varies among precursor proteins and depends on precursor length." Mol.Cell.Biol.16・11. 6103-6109 (1996)

[文献書誌] Naito,Y.: "Morphological analysis of renal cell culture models of calclum phosphate stone formation" Urol,Res.(印刷中). (1997)

[文献書誌] 市山 新: "原発性高蓚酸尿症" Annual Review腎臓1996(長沢俊彦,河辺看目,伊藤克己,浅野泰,遠藤仁 編). 232-238 (1996)

[文献書誌] 市山 新: "原発性高蓚酸尿症1型" 腎と透析. 42・3(印刷中). (1997)

1996 年度実績報告書

市山新浜松医科大学, 医学部, 教授 (90025601)

[文献書誌] 市山新: "原発性高蓚酸尿症" Annual Review腎臓1996(長沢俊彦,河辺看目,伊藤克己,浅野泰,遠藤仁編). 232-238 (1996)

[文献書誌] 市山新: "原発性高蓚酸尿症1型" 腎と透析. 42・3(印刷中). (1997)