遺伝性カルニチン欠乏マウスの肝臓尿素サイクル酵素遺伝子の発現は転写レベルで抑制されている。その機構を解明するために、1.尿素サイクル酵素であるcarbamylphosphate synthetase I(CPS I)のマウス遺伝子5'上流を20kbにわたって、クローン化した。現在luciferaseをreporter遺伝子とする系で肝臓での基本的転写活性およびホルモン応答性に重要な領域を決定を行っている。またオランダのChristoffelsらはラット遺伝子のホルモン応答性領域を明らかにし、その領域を含むreporter geneを導入したtransgenic mouseを作成しているので、そのマウスを入手し、JVSマウスとの交配で、CPS I-reporterを持つJVSマウスを作成し、reporter geneの発現をin vivoで検討する系を確立しつつある。2.一方、cultured rat hepatocytesを用いて、脂肪酸によるCPS I発現抑制の機構を検討している。CPS Iの発現を直接は抑制しないが、CoAを消費することによって、CPS I遺伝子発現抑制に働くoleic acidのacyl化を抑制すると考えられる、octanoic acidおよびsalycylic acidを添加して、その効果を検討したが、なんらの効果を示さなかった。このことはカルニチン投与がoleic acidの効果を抑えることと合わせ、free fatty acidそのものが抑制効果を示すものと考えている。
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