研究概要 |
ヒト扁平上皮癌の発生・進展にRB-E2F系の細胞増殖制御機構の破綻が大きく関与していると推定される。本研究では、RB蛋白の以上発現、HPV-16型、18型のE6遺伝子、E7遺伝子の組込みの有無を24症例の子宮頚部扁平上皮癌で検討し、更に肺扁平上皮癌11症例のE2FmRNA量について癌と非癌部で比較検討した。 その結果、子宮頚部浸潤性扁平上皮癌24症例ではHPV16型E6遺伝子は87.5%、E7遺伝子は71.4%組込まれていた。また、RB蛋白は80.9%,86.6%と同様に高率に陽性であった。HPV18型ではHPV16型に比べ組込み率は少なくRB蛋白の発現も低かった。肺扁平上皮がん11症例について組織内E2F-1mRNA量を測定した結果、癌組織では5.3±3.8fg/ng total mRNA、正常組織では1.2±0.5fg/ng totalmRNAであり、癌組織におけるE2F系の過剰発現があるものと推定された。 RB蛋白は正常組織では確認できなかったが癌組織では常に陽性であった。RB蛋白異常発現-E2F過剰発現が扁平上皮癌の発生・進展に深く関与しているものと推定された。
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