研究概要 |
PCRを用いたカンジダ特異的遺伝子の証明をさまざまなCandida-specific primer pairを用いて行った.特に感染頻度の高いC.albicansについてcare-1,care-2,benR,cdr-2について検討したところ,ベノミール耐性遺伝子であるbenRについてC.albicans特異的なDNAの増幅が安定して認められ,他の酵母状真菌では陰性であった.現在,300-400bp程度のsense,antisense probeの作成を行いin situhybridization(ISH)への応用を試みている.ATP-binding cassette typeの多剤耐性遺伝子(cdr-2)についても同様な試みを行っている。一方,パラフィン包埋材料からのDNA抽出とPCRを用いたカンジダ特異的遺伝子は困難で,過去の剖検材料を用いた遺伝子診断は簡便なDNA抽出手段が可能になったとしても感度と特異性の高い遺伝子診断の材料には適さないと考えられる.カンジダ特異的遺伝子のうち18S,28SrRNAに対するビオチン標識DNAプローブを用いたDNA-RNAISHについては,実験感染材料のパラフィン切片を用いれば安定した診断結果が得られる.このことは他の真菌症,特にアスペルギルス症などについて証明されているが,「種」特異的な診断を行うには限界があることがわかった.以上より,少なくともC.albicansについて特異的な診断用のプローブの作成とパラフィン包埋材料を用いたISH法の実施を次年度の研究継続目標としたい.これまでのところ薬剤耐性遺伝子が種特異性が高く,プローブの作成に適していると考えられる.
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