研究概要 |
鼻腔リンパ腫におけるEpstein-Barr virus(EBV)との関与についての検討を行った.大阪,沖縄,韓国の症例についてEBV潜伏感染の有無を検討したところ,いわゆる鼻腔T細胞リンパ腫のほぼ全例にEBV潜伏感染を認めた.その亜型は全例A型であった.スイスからの亜型の報告では半数がB型であり,このことはEBVの亜型においても地域差のある可能性を示唆している.いわゆる鼻腔T細胞性リンパ腫は近年,natural Killer(NK)cellマーカーであるCD56を発現していることが報告されNK cell由来の腫瘍である可能性が示唆されている.そこでCD56の発現の有無とEBV潜伏感染の関連について検討した.CD56陽性腫瘍の85%にEBV潜伏感染を認めたのに対しCD56陰性腫瘍ではB細胞性リンパ腫25%,T細胞性リンパ腫50%であり,T細胞性リンパ腫のなかでEBV潜伏感染が見られたものは組織学的には従来よりいわれているpolymorphic reticulosis(PR)のみであった.このことはPR,CD56陽性腫瘍発症にEBVが関与する可能性を強く示唆するものと考えられた.
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