研究概要 |
肉腫特異的な染色体転座の種類と組織診断との間の相関性を知る目的で、核型解析と平行して、パラフィン包埋材料を使ったFISH法の研究を行った。材料と方法:手術時の生材料を使って、核型解析を行うとともに、過去に病理組織診断が下された47例の軟部肉腫(滑膜肉腫28例、ユーイング肉腫/PNET群6例、脂肪肉腫13例)を対象にFISH法による染色体転座を調べた。DNAプローブはオンコー社のビオチン標識セントロメアおよびトータル(11、12、16、18、22番各染色体とX染色体)プローブを使用した。結果と考案:1例を除いた47例(89.4%)で腫瘍特異的転座が認められた。t(X;18)は滑膜肉腫28例中25例で陽性、転座陰性の3例(単相型)中2例は免疫染色の結果、平滑筋肉腫と悪性末梢神経鞘腫に診断変更された。t(11;22)はユーイング/PNET群の6例中5例、t(12;16)は脂肪肉腫(粘液型11例と円形細胞型2例)の13例中12例に認められた。t(11;22)陰性のPNETl例はマイナーな転座の可能性が示唆された。脂肪肉腫では、粘液型と円形細胞型が細胞遺伝学的に共通で、組織像に反映されていることが証明された。 このほか、chondromyxoid fibroma(42歳/女性、右脛骨)の核型解析を行なった。モード数は2倍体、核型は46,X,add(X)(q11),t(1;12)(p13;q13),der(6)?t(6;17)(q25;q21),der(9)t(X;9)(q13;q32),add(17)(q21)で、t(1;12)を含む染色体異常を示した。
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