研究概要 |
ヘルペスウイルスのうち単純ヘルペスウイルス2型(HSV2)ヒトヘルペスウイルス8型(HHV8)およびEBウイルスについて検討を行い、現在まで以下の結果を得た。 1.HSV2については、分離株6株とコントロール株(SAV株)をBALB/cおよびC57/blackマウスの腹腔内にそれぞれ9×10^3、9×10^4、9×10^5P.F.U./0.25ml投与した。BALB/cマウスは脳炎で死亡する。脊髄炎の症状はみられないが組織学的には脊髄壊死がみられた。C57/blackマウスはBALB/cマウスより死亡率が低く、死亡前半日〜1日の膀胱直腸障害と後肢の麻痺をきたし脊髄炎の症状が明らかにみられる。脊髄には後角、後索の壊死が強くみられ、免疫組織化学的にもウイルスを証明することができる。さらに、再分離したウイルスは投与前のものと同じ制限酵素切断パターンを示した。 2.HHV8:沖縄の古典型、AIDS、他の免疫不全やATLさらに髄腫等に伴う沖縄県のカポジ-肉腫について、Changらのプライマーを用い233bpのDNAを増幅した。カポジ-肉腫ではすべて233bp bandを検出したが,carenous hemangioma,angiosarcoma,granuloma pyogenium等には検出できなかった。HHV8の感染が住民の一部に存在し、それらの人々に何らかの機序でカポジ-肉腫が発生する可能性がある。 3.EBウイルス感染を現在数十例の口腔扁平上皮癌症例について検討中である。欧米ではEBVI型とII型の感染が知られているが日本ではI型が主である。沖縄についての報告はないので研究を行っている。 以上3種類のヘルペス属ウイルスについて沖縄県での感染状況と病因について検討を行い興味ある結果が得られつつある。
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