研究概要 |
1.ウイルスの分離と神経病変の発症 多数の2型単純ヘルペスウイルス(HSV2)を分離し、制限酵素消化法により塩基パターンを決定した。ウイルス株の中より動物実験により毒性を確かめた後、弱毒株(K3)、強毒株(K2)と中間株(K1)、さらに対照としてsavaqe株を用い、神経病変の発生を検討した。用いた動物はC57BL/6NとBALB/cNマウスで、それぞれK(lr)領域はH-2bとH-2d,D領域もH-2bとH-2dである。BALB/cNはHSVに高感受性で、C57BL/6Nは低感受性である。中間毒性のK1株はC57BL/6Nマウスに脊髄炎をおこし良い動物モデルとなった。他方、BALB/cNにはK1株もK2株も脳病変が強く、脊髄炎モデルとはならなかった。K3株は両種のマウスに何ら神経病変を起こさなかった。従って、中間毒性株が感受性の低い動物に感染すると脊髄炎が惹起されることが明らかとなった。 2.HHV8とカポジ肉腫の発生 HHV8は5例のカポジ肉腫病変に全例検出された。さらにカポジ肉腫とよく似たgranuloma pyogeniumに陽性の例があった。しかし、最もカポジ肉腫と組織像が類似している紡錘細胞血管内皮腫は陰性であった。さらに沖縄のHHV8の塩基配列はアフリカ型のウイルスに近いことが明らかとなった。 3.EBVと口腔癌の発生 現在論文として投稿中であるが、沖縄県の口腔扁平上皮癌にはPCR法で高頻度にEBVが検出される。しかし、扁平上皮癌細胞には検出頻度は低く、浸潤リンパ球にin situ hybridization法で認められた。 4.まとめ:ヘルペスウイルスは沖縄県の多数の疾患に関連し種々の興味あることが明らかとなったがさらに検討する必要がある。
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