研究概要 |
分化型胃癌のallelotype解析の結果、染色体2q、4p、5q、6p、7q、11q、14q、17p、18qおよび21qに33%-50%の率で欠失が認められ、これらの染色体上に分化型胃癌の発生あるいは進展に重要な癌抑制遺伝子が存在していることを示唆した(J Pathol,1996)。早期癌と進行癌における染色体欠失の蓄積を比較したところ、5q、7q、17pおよび21qでは早期癌と進行癌の両者にほぼ同様の率で欠失が認められたのに対して、6p、11q、および18qの欠失は早期癌と比較して進行癌で高率に生じていた(Pathol Int,1996)。従って、前者は分化型胃癌の発生早期に重要な遺伝子変化であり、後者は分化型胃癌の進展に関与していると推測された(Pathol Int,1996)。これらの染色体のうち、特に高率に欠失がみられた5q、7q、および21qについてpolymorphic microsatellite markerを用いたPCR-LOH解析を行って詳細な欠失地図を作製し、共通欠失領域を同定した。分化型胃癌における5qの共通欠失領域は5q14と5q13.1の2カ所であり、APC遺伝子座とは異なっていた(Cancer Res,1996)。7qの共通欠失領域は7q31.1-31.2に同定され、他のヒト癌で報告されている領域と一致していた(Virchows Arch,投稿中)。21qでは21q21と21q22の2カ所に共通欠失領域を同定した(Genes Chromosomes and Cancer,1996)。
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