研究分担者 |
鷹橋 浩幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00246414)
穴倉 有里 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40219754)
加藤 弘之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50211165)
菊地 泰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40169834)
鈴木 正章 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70119816)
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研究概要 |
1.腎細胞癌の集積,電算化,予後調査を行った.約1000例の腎細胞癌の中には,特殊型腎癌(嫌色素細胞性腎癌,ベリ二管癌)を約100例経験する事ができた. 2.嫌色素細胞性腎癌の典型例1例については,臨床事項を加えて症例報告を行った.また嫌色素細胞性腎癌は一般的には予後が良好とされるが,部分的に肉腫様の像を呈することがあり,この場合予後が不良である事を報告した.更に嫌色素細胞性腎癌は免疫組織化学的にも,分子病理学的にも通常型の淡明細胞亜型腎細胞癌と違った特徴を示した. 3.ベリ二管癌の疑いがある22症例(肉眼的に髄質発生と思われた例,また光顕上ベリ二管癌を疑った例)に,alcian blue(AB)染色,mucicarmine 染色,近位尿細管マーカー(LeuM1・LTA・lyzozyme),遠位〜集合管マーカー(PNA・DBA・CK7・Progen19・MA903・Ber EP4・Tamm-Hor sfall蛋白),CAM5.2,BMA,vimentin(VM),CA125,CA19-9の染色を行った.ベリ二管癌を疑った例は,肉眼的に髄質を中心に拡がり,浸潤性格が強く,核異型が高く,予後が不良であった.組織型は移行上皮様分化を示す管状腺癌5例,乳頭状(乳頭状管状)腺癌15例,肉腫様成分を伴う腺癌1例,顆粒細胞腎癌1例で,近位尿細管マーカーの陽性率が低く,集合管マーカーの陽性率が高い.粘液染色としてはムチカルミン染色よりもAB染色の方が有用性が高い.ベリ二管癌の診断には,腫瘍の局在,組織像,粘液染色,集合管マーカーの染色結果を総合的に検討して決めるべきである. 4.ベリ二管癌と鑑別が問題となる腎癌の中に乳頭状腎癌があり,典型的な乳頭状腎癌に的を絞った検討を行った.大型細胞からなるmacropapillary typeと小型細胞からなるmicropapillary typeの2型に細分類できることを報告した.ベリ二管癌と乳頭状腎癌は別個の疾患概念として扱うべきである. 5.フローサイトメトリー・イメージサイトメトリーを利用して,核内DNA量の検索を行ったが,aneuploidyを示す群は予後不良であった.
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