研究概要 |
572例のリンパ節性のT細胞性リンパ腫において、全例でHTLV-Iプロウイルスの検索を行ない、最近新しく提唱された組織分類(REAL classification)により、組織を再分類した。また予後との相関をみた。HTLV-Iプロウイルスの検索により、572例は以下の3群にわけられた。(A)クローナルなHTLV-Iプロウイルスのみられる、いわゆるATLL(adult T cell leukemia/lymphoma)(247例)、(B)ATLA陽性もしくは、PCR法によりHTLV-Iウイルスが陽性だが、クローナルなHTLV-Iプロウイルスはみられない、いわゆるHTLV-Iキャリアに発生したと考えられるT細胞性リンパ腫(66例)、(C)ATLA陰性もしくは、PCR法によりHTLV-Iウイルスが陰性の、HTLV-Iと関係のないT細胞性リンパ腫(259例)にわけられた。組織学的には、B群とC群では、しばしばLarge cell typeとAILD typeが見られたが、A群では、Pleomorphic typeが頻回に見られた。臨床的な予後を見ると、B群とC群は同様の予後曲線をしめしたが、あきらかにA群は予後不良であった。以上のことからも、B群はHTLV-Iキャリアに発生したと考えられるATLLとは関連のないT細胞性リンパ腫であろうと考えられた。また組織の再分類をREAL分類でおこなったところ、ATLLの予後は非常に悪く、Unspecified typeは中間的な予後を示し、Lymphoblastic type,AILD type,Anaplastic large cell typeの予後は比較よく、REAL分類は、非常に予後に役にたつことがわかった。(現在投稿中)
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