研究課題/領域番号 |
08670237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
榎本 克彦 秋田大学, 医学部, 教授 (20151988)
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研究分担者 |
森田 真守 秋田大学, 医学部, 助手 (20282163)
斉藤 昌宏 秋田大学, 医学部, 講師 (70162229)
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キーワード | ラット胎仔肝 / 肝類洞形成 / 類洞内皮細胞 / SE-1抗体 |
研究概要 |
ラット胎仔肝(妊娠13日目から21日目まで)を用い、肝発生過程における類洞構造の形成と類洞内皮の機能分化について検索した。類洞内皮の機能分化のマーカーとして、われわれの開発したラット類洞内皮特異的SE-1抗体、およびFactor VIII関連抗原(FVIII)抗体を用い、それらの発現を蛍光抗体法、免疫電顕により観察した。 胎齢13日目の肝では、卵黄静脈に由来する血管網が認められるが、それらの内皮細胞はSE-1抗原、FVIIIいずれも陰性であった。SE-1抗原の発現は、胎齢14〜15日目にかけて類洞様構造の形成にほぼ一致して散在性に認められた。免疫電顕によっても、15日目で一部にSE-1抗原陽性を示す類洞内皮細胞の存在が認められた。SE-1の陽性蛍光は胎齢の経過に伴い伸展かつ連続し、21日目では成熟ラット肝とほぼ同様の発現を示した。一方、FVIIIは15日目の肝で卵黄静脈由来と思われる太い血管内皮に発現しており、SE-1抗原陽性の類洞内皮との直接的な連続は認められなかった。 肝類洞構造の形成が、いつ、どのように起こるかについては現在まではほとんど報告されておらず不明の点が多いが、以下の2つの可能性が考えられる。1)卵黄静脈から内皮細胞が肝実質内に伸展することにより形成される可能性。2)肝実質内に未分化な内皮細胞が造血細胞とともに存在し、既存の卵黄静脈とは独立して形成される可能性。今回のわれわれの結果からは2)の可能性がつよく示唆されるが、さらに詳細な免疫電顕的検索が必要と思われた。 また、SE-1抗体による免疫電顕により、SE-1抗原陽性の内皮は肝細胞と密に接していることが示され、類洞内皮細胞の機能分化には肝細胞との相互作用が重要であることも示唆された。
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