研究概要 |
本研究の目的はラット・メサンギウム細胞上のThy-1分子のうち、上述の機能分子に直接関与するエピトープを遺伝子レベル、蛋白レベルで同定することである。平成8年度では以下に述べる成果が得られた。 1メサンギウム細胞と血管内皮細胞の混合培養の系で、両細胞の接着部位に優位に局在するThy-1.1分子をメサンギウム細胞上に証明した(Oite et al.Exp Nephrol 4:350,1996)。 2このメサンギウム細胞上のThy-1.1分子は機能蛋白として存在し(Narisawa-Saito et al.J Cell Physiol 168:705,1996)、蛋白チロシンキナーゼを介してシグナル伝達している可能性が得られた(Narisawa-Saito et al.106:86,1996)。 3COS細胞にThy-1.1 cDNAをtransfectし、ラット・メサンギウム細胞上に存在するThy-1.1が発現することを、2種類の単クローン抗体、ポリクローナル抗体で証明しうることを確認した(上述、Exp Nephrol)。 N端、C端をThy-1.1あるいはCD4のハイブリッド蛋白に対するcDNAを3と同様に、COS細胞にtransfectし、メサンギウム細胞上のThy-1.1分子の機能エピトープを決定すべく仕事を進めている。 メサンギウム細胞と混合培養を行う血管内皮細胞は、ラットでは大動脈内皮細胞(Oite et al.50;113,1995)、ヒトでは腎糸球体内皮細胞、皮膚微小血管内皮細胞(市販)を用いているが、培養法は確率しており、実験を遂行する上で問題はない。
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