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1996 年度 実績報告書

retプロトオンコジーンのリガンドの同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 08670244
研究機関名古屋大学

研究代表者

高橋 雅英  名古屋大学, 医学部, 教授 (40183446)

キーワードretプロトオンコジーン / チロシンキナーゼ / GDNF
研究概要

retプロトオンコジーンは細胞外ドメインにカドヘリン様構造を有するユニークな受容体型チロシンキナーゼをコードしている。その発現をマウス及びラット胎生期において検索すると、腸管神経系や交感神経系などの広範な末梢神経細胞と脊髄の前角細胞などの一部の中枢神経細胞に検出される。また神経系以外では中腎管や尿管芽といった腎臓の発生に関与する部位に強い発現が認められる。イギリスのグループによって作製されたret遺伝子のknock outマウスでは腸管神経細胞の分化を全く認めないこと、腎臓の完全欠損あるいは部分欠損を生じることが報告された。これらの結果より、retプロトオンコジーンは特に腸管神経系の形成と腎臓の発生に重要な役割を果たしていることが推定された。
今回われわれは米国Genentech社のグループと共同研究にてパーキンソン病の治療薬として期待されているglial cell line-derived neurotrophic facotr(CDNF)が、Retのリガンドであることを証明した。GDNFをRetが発現している神経芽細胞腫細胞株の培養上清に加えると、170kDaの細胞表面に発現するRetのチロシン燐酸化が生じた。しかしながらGDNFはRetに高アフィニティーで結合するのではなく、GPIアンカーで膜と結合するGDNFRαと名づけられた細胞表面蛋白にまず結合後、Retの活性化を誘導した。このことはphophoinositide-specific phopholipace C(PIPLC)で細胞をあらかじめ処理すると、GDNFによるRetの燐酸化が生じないことからも証明された。GDNFはさらに神経芽細胞腫においてRas-MAPK係の活性化を誘導できると同時に、一部の神経芽細胞腫細胞の分化を誘導できた。以上の結果より今後GDNF-Ret系と介した神経分化機構の解析が急速に進展するものと期待できる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Toshihide Iwashita: "Identification of tyrosine residues that are essential for transforming activity of the ret proto-oncogene with MEN2A or MEN2B mutation." Oncogene. 12. 481-487 (1996)

  • [文献書誌] Paul Tam: "Ret protein in the human fetal rectum" J.Pediatr.Surg.31. 568-571 (1996)

  • [文献書誌] James Treanor: "Characterization of a multicomponent receptor for GDNF" Nature. 382. 80-83 (1996)

  • [文献書誌] Naoya Asai: "A mutation at tyrosine 1062 in MEN2A-Ret and MEN2B-Ret impairs their transforming activity and association with Shc adaptor protein" J.Biol.Chem.271. 17644-17649 (1996)

  • [文献書誌] Nakaba Hasegawa: "A ring finger motif regulates transforming activity of the rfp/ret fusion gene" Biochem.Biophys.Res.Commun.225. 627-631 (1996)

  • [文献書誌] Toshihide Iwashita: "Mechanism of Ret dysfunction by Hirschprung mutation affecting its extracellular domain" Hum.Mol.Genet.5. 1577-1580 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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