L-plastinがIL2刺激によりリン酸化された際そのアクチンを束ねる活性がいかなる変化を受けるかを解析した。この蛋白のリン酸化されたタイプとされてないタイプをヒトの白血病細胞株から高度に精製し、両者の活性のCa^<++>依存性がリン酸化によっていかに変化するかを検索した。その結果リン酸化されていない1-plastinはCaイオン濃度が3X10^<-7>MでF-actinを束ねる活性が約半分になるのに対して、リン酸化されたものでは5X10^<-9>M以下の濃度でその活性は半分以下であり細胞内のCaイオン濃度ではリン酸化により1-plastinはアクチンを束ねる活性を失うと考えられた。つぎにこの蛋白をリン酸化するprotein kinaseの探索を行い、ヒトのT細胞白血病株からIL-2と同じセリン残基をリン酸化するprotein kinaseとしてcasein kinase2がえられた。現在IL-2刺激によりこのkinaseが活性化される機構を検索中である。 L-plastinにユニークなアミノ酸配列に対応した合成ペプチドを抗原にして特異性の高いモノクローナル抗体P-20-17が得られているが、この抗体を用いてヒトIL-2依存性T細胞株をCa-EDTA緩衝液中で細胞内のCaイオン濃度を保ちながら低濃度ホルマリンで37℃で固定したのち塗末標本を作成し、各種条件下の細胞内の1-plastinの分布を間接蛍光抗体法で検索すると、IL-2を添加しないで培養した細胞ではこの蛋白はアクチンのストレス繊維に局在しているが、IL-2を添加すると20分以内にこの局在性がくずれてdiffuseに分布するようになり、特にpseudopodに比較的密に分布するようになる。IL-2によりリン酸化されるのは1-plastinのN末から7番目のセリン残基であり、このセリン残基をグリシン残基に置き換えた1-plastinを発現させた細胞ではこのような変化がわずかしか起こらない故に1-plastinのリン酸化はactin cytoskeletonの再配置に重要な役割を果していると考えられた。
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