脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)とその対照ラットであるWKYを用いた連鎖解析により、ラット第1染色体上に血圧の強い影響を有する遺伝子が存在することが明らかになった。量的遺伝子形質を抑制する遺伝子の連鎖解析では候補領域を狭い範囲に絞ることが困難であることが知られており、それに代わる方法論として、本研究では、WKYをもとにSHRSPの戻し交配を行い、ラット第1染色体上の高血圧関連領域のみをSHRSPより受け継いだコンジェニックラットの作製を試みた。 平成9年度の計画に基づき、以下の項目を実施した。 1)コンジェニックラット作製に必要な遺伝マーカーを得るためにRandomly amplified microsatellite polymorphism法を応用してparental strainであるSHRSPとWKYの間で多型を示すマーカーを単離した。 2)SHRSPをWKYに5代まで戻し交配し、現在戻し交配5代目のラットを兄妹交配して当該領域のみがSHRSP homozygoteとなったラットを作製、血圧のチェックを行っている。当該領域を更に細かく分けて狭い領域を有するコンジェニック系統を6系統作製しており、これにより、SHRSPにおける高血圧遺伝子の存在領域をかなり狭い範囲に限定できるものと期待される。
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