研究課題/領域番号 |
08670264
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
稲葉 宗夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (70115947)
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研究分担者 |
杉浦 喜久弥 関西医科大学, 医学部, 助手 (30171143)
比舎 弘子 関西医科大学, 医学部, 助手 (90151422)
土岐 純子 関西医科大学, 医学部, 助手 (40077681)
安水 良知 関西医科大学, 医学部, 講師 (00142753)
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キーワード | B細胞分化 / 骨髄多能性造血幹細胞 / ストローマ細胞 / 胸腺 / 環境要因 |
研究概要 |
胸腺B細胞は表面Ig陰性/B220弱陽性/CD43陽性の表面マーカーを持つ細胞から分化することが、IgMアロタイプの異なるマウスを用いた胸腺内投与の実験から明らかになり、胸腺中に前駆B細胞が存在することが確認された。本年度は引き続き胸腺B細胞の分化過程およびその環境要因の解析を行った。 1.胸腺B細胞は末梢B細胞とは異なり、CD5陽性B細胞の占める割合が高いことが報告されているが、胸腺前駆B細胞の胸腺内投与後分化してくる表面Ig陽性/B220陽性/CD43陰性の成熟B細胞はその50%以上がCD5陽性B細胞であり、生体より調製した成熟胸腺B細胞の特徴と一致することが確認された。また、胸腺内で分化した成熟胸腺B細胞はIL-10存在下にCD40を介する刺激により抗体産生細胞に分化し、この点でもこれまでにわれわれが報告した胸腺B細胞の性状を備えていることが明らかになった。 2.胸腺より精製した前駆B細胞をSCIDマウスに投与したところ、ドナー由来B細胞の出現が各リンパ組織において観察され、また、胸腺におけるCD5陽性B細胞の割合は他のリンパ組織に比して高く、B細胞亜集団を決定づける表面マーカーの発現がある程度環境要因に規定されていることが推測された。さらに昨年度報告したように、胸腺前駆B細胞は胸腺由来ストローマ細胞を用いた場合にのみIL-7の存在下で成熟B細胞に分化するが、D-J/V-D-JのIg遺伝子再構成パターンを持つ成熟B細胞の頻度は胸腺由来ストローマ細胞との培養により増加し、かつ、成熟B細胞への分化は5週間にわたって観察された。従って、胸腺由来ストローマ細胞は胸腺前駆B細胞自体およびその分化過程を長期に維持可能であることが明らかになった。
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