研究概要 |
1.Aberrant crypt foci(ACF)の選別・分離・観察ならびに分子生物学的検索法 マイクロインジェクション装置により墨汁を正常大腸陰窩ならびにACFの陰窩に注入すると、たとえあふれても隣接陰窩表面に残るのみで、陰窩内には入らず、墨汁注入陰窩のみを正確にマ-キングの可能なことを示した。腺管分離はBjerknes and Cheng法の変法に基づいた30mMEDTAを含むHanks'培養液で10分3回の処理で良い結果が得られた。分離した腺管ならびにACFは、固定後、30分間蒸留水で水洗することで走査電顕的観察に適することが明らかとなった。マイクロサテライトマーカーによる解析では、C3Hより単離した腺管からDNAを抽出し、Y染色体特異的(Sry)マーカーおよびマイクロサテライトマーカー(D8Mit4,Research Genetics,Inc.,Huntsville,AL)を用いPCR法により系統および性の判定を行った結果、一個の腺管からでも判別可能な条件設定ができた。 2.正常大腸ならびにACFの発育形態 生後5、10、15日の正常ラット大腸陰窩を腺管分離により観察した結果、腺底部が二分割するfission mechanismにより腺管数を増やし、増殖が盛んな時は、3ならびに4分岐腺管が存在する事を示した。一方、DMH誘発ACFも腺管底部が二分割するfission mechanismにより増殖することが、一腺管あたり二分岐までで、複数の腺管より構成されるACFは非分岐腺管と二分岐腺管より構成されることが明らかとなった。 以上の結果、本年度の目標であるACFのクロナリテイーの検索法の確立は,達成されたと考えられる。
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