研究概要 |
1,正常ラット大腸腺管およびDMH誘発ラットACFの増殖・発育過程・正常ラット大腸腺管は腺管底部からのfission mechanism(FM)により増加していた。一方、DMH誘発ラットACF構成腺管数もFMにより増加すると判明した。 2,PhlP誘発ラットACFの局在:PhlP誘発ラットACFの好発部位は12〜25週では遠位結腸、50週では近位結腸から盲腸であった。遠位部のACFは減少し、近位部のACFが増加し、腫瘍は近位部に限局していた。早期に遠位結腸に好発したACFは可逆性で、近位結腸のACFの一部が不可逆性に癌へ進展する可能性が示唆された。 3,キメラマウスAFCの腺管分離、C3H系統特異モノクローナル抗体(CSA)による解析:キメラマウスの正常腺管はいずれも腺管単位で単クローンで、それらが粘膜内で島状に群をなして存在していた。DMH誘発ACFを腺管分離し、CSAにより検討した結果、検索し得た限りで、ACFを構成する複数の腺管は単クローンであった。 4,キメラマウス大腸腺管のマイクロサテライトプローブ法による解析:正常キメラマウスの大腸腺管を分離、CAS染色後DNAを抽出、系統で異なるマイクロサテライトマーカー(D8Mit4)を用いてPCR法により系統の判定を行った結果はCSA染色の結果と全く一致した。 5,まとめ:以上より腺管単位で単クローンの大腸腺管からFMによって生じたACFは理論上単クローンであり、CASによる検索結果もこれを支持した。今後、局在と形態、遺伝子変異、クローナリティを組み合わせて、可逆性/不可逆性のACFの差異を追求究することが、前癌病変としてのACFの性格を解明する上で必須である。
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