研究課題/領域番号 |
08670280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (60024684)
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研究分担者 |
杉山 章 名古屋女子大学, 短期大学部・家政学科, 教授 (30196761)
津田 良夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20207393)
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キーワード | コガタハマダラカ / 植生 / 画像解析 / 生息環境変化 |
研究概要 |
ひとつの地域内で観察される、蚊相の場所的な相違の生起要因として、植物を中心とした環境の景観的属性を無視出来ない。しかし、これまでの属性記載は、記述的か純植物生態学的記載が多く、蚊の定着理由を科学的に説明出来なかった。それ故、地域間比較や評価を客観的に行うのは無謀に近かった。この弱点を段階的に克服し、環境変化に伴う蚊相変化の予測に供するため、まず植生等による蚊生息空間の被覆程度の数値化とその有効性の評価を試みた。今年度は、東南アジアの最重要マラリア媒介蚊種であるコガタハマダラカ(An.minimus)の多い石垣島野底地区の山脚部から海岸に近い平坦部にかけての16地点をモデル地区に選んだ。各測定地点では任意の位置で地上1mの高さから水平方向に1枚、垂直方向の上向き(キャノピ-を通して空を写す)1枚、下向き4枚の合計6枚の写真を撮影した。水平方向の写真では背景に長さ4m高さ2mの広げた白布を画面いっぱいに写し込んだ。この方法により水平方向の空間の過疎程度を、白布の前景の一定空間内の植物等が遮蔽する度合いにより評価しようとした。焼き付けた一定サイズのカラープリントに1x1cmのグリッドをかけ、上方向の写真では空が写り込んでいるグリッド数、水平方向では白布で占められたのグリッド数をカウントした。下方向は土、石・岩・枯れ葉、根・枝・倒木、生葉(緑葉)、ゴミを区別し、それぞれの写っているグリッド数の4写真葉の平均値を採った。定められた撮影法に従ったカラー写真に基づく植生の分析を試みた。同じ地点でドライアイストラップと人囮による夜間採集を実施し、植生と優占蚊種の関係を吟味した。その結果、コガタハマダラカは、比較的植生の密な地点を中心に多く採取されたが、密であればあるほど多いというような単純な傾向はみられなかった。コガタハマダラカと対照的な分布を示したのは、ヨツホシイエカ(Cx,sitiens)であった。
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