研究課題/領域番号 |
08670280
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
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研究分担者 |
杉山 章 名古屋女子大学, 短期大学部・家政学科, 教授 (30196761)
津田 良夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (20207393)
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キーワード | コガタハマダラカ / 植生 / 石垣島 / 主成分分析 / 景観 / 空間分布 |
研究概要 |
石垣島の景観の異なる18地点における植生と蚊相を現地調査し、得られた144組のデータより景観と蚊の空間分布の関係を解析するために主成分分析を行った。固有値λ≧1であるのは第3主成分までだったので、それ以下の主成分は解析対象から除外した。第3主成分までの累積寄与率は66.171であった。全体の66.171%の情報がこれら3主成分に集められていることがわかった。各変数の主成分に対する因子負荷量を求めた。第1主成分と高い相関を示したのは5変数で、枯葉、樹冠の遮蔽度根、上側水遮蔽度とは正の相関、緑葉とは負の相関を示した。正の相関を示す変数はいずれも林内で大きな値となり、緑葉の割合は林内では低い傾向があるので、第1主成分は木の繁り度合い(こんもり度)を示すと解釈できる。第2主成分が高い相関を示したのは3変数で、岩し負の相関、下側遮蔽度および緑葉と正の相関であった。したがって、第2主成分の値が大きくなるのは草で覆われた草原であり、値が小さくなるのは岩がらみの荒れ地であると考えられる。つまり、第2主成分は荒れ地の程度と関連していると解釈出来た。18地点の平均的な特徴を表すために、8つの繰り返しで得られた第1、2主成分の平均値を求め、各地点の値をプロットしてみるとS1からS8までの地点はいずれも第1主成分のスコアーが小さく、第2主成分のスコアーが大きかった。また、M5とM6は荒れ地の程度が大きく、それ以外のM1からM8とMAのこんもり度は高い。これらの結果は実際の景観とよく対応しており、この分析が各地点の特徴を表現するのに有用であることがわかった。各地点の景観とコガタハマダラカの空間分布との間にははっきりした関係が認められ、採集個体数が多いのは、荒れ地の程度の低い草原で中程度のこんもり度を示す地点であった。
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