研究概要 |
東南アジア山脚部のマラリア媒介蚊で、開発に伴う環境改変の影響下にあるコガタハマダラカ(Anopheles minimus)の分布を規定する環境要因について定量的に把握するために、石垣島野底・浦底地区における野外研究を実施した。ジャングルから平地に亘る約3 X 8kmの地域に19の調査地点を設け、成虫採集と調査地点の写真撮影を2カ年間繰り返した。写真画像は写り込んだ環境構成要素を4mm^2毎にカウントして数値化した。また調査地域を含むLANDSAT/TMデータから24シーンを取得し、調査地点を中心とした120,300,480平方米の範囲の衛星各バンドCCT値とNDVI値を求めた。これらの数値化した環境変数を基に主成分分析を行った結果、対象環境は、植生の「こんもり度」、裸地や岩石の露出度、下生え・草本類の被覆度の3要素から70〜90%まで定量的に説明可能なことが判った。この3要素に加えて、幼虫発生源からの距離を考慮した重回帰分析結果は、少なくともドライアイス付加ライトトラップ採集結果からみた、コガタハマダラ力の空間分布に良く当てはめることも確かめられた。コガタハマダラカは、3要素の全てについて中庸で、幼虫発生水域から遠くない環境空間を選好すると定義された。
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