研究課題/領域番号 |
08670281
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
津田 良夫 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (20207393)
|
研究分担者 |
杉山 章 名古屋女子大学, 家政学科, 教授 (30196761)
高木 正洋 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60024684)
|
キーワード | ヒトスジシマカ / リバースシマカ / 生息場所選択 / 標識再捕獲 / 石垣島 |
研究概要 |
前年度と同じ石垣島富野の八重山ヤシ園を調査地として、標識再捕獲実験を行った。実験室で飼育したヒトスジシマカとリバースシマカ成虫それぞれ585頭(雌132、雄453)、1063頭(雌447、雄616)を林縁部の一ヵ所から放逐した。初期分散の様子を調査するため、放逐後3日間朝夕各1回、調査地内の林縁部と林内に合計10カ所の地点を選び、それぞれ10分間の人囮採集を行った。再捕獲は吸虫管及び小型補虫網を用いて行った。放逐された成虫の再捕獲率はヒトスジシマカの雌22.0%、雄18.3%、リバースシマカの雌2.5%、雄5.4%で、雌雄ともヒトスジシマカのほうが高かった。再捕獲個体数の時間的変化を見ると、リバースシマカの雌成虫は放逐日の夕方に6頭採集されているが、翌日には全く採集されず、翌々日に2頭採集されたのみであった。これに対して、ヒトスジシマカは放逐日の翌日(4頭)、翌々日(1頭)にも再捕獲された個体がいた。捕獲個体数が多くはないのではっきりとは言えないが、リバースシマカの雌成虫はヒトスジシマカの雌成虫よりも早く、放逐日の翌日までに、かなり多くの個体が分散したと思われる。 採集場所の植生を写真で記録し、画像分析を行って植生の空間構造の特徴を“植生のこんもり度"、“裸地の程度"、“荒れ地度"の3つの指数で定量的に評価した。再捕獲された成虫数の採集場所間の変異を、これら3指数と採集場所の放逐地点からの距離、平均風速、平均風温、平均照度を要因として多重回帰分析によって分析した。その結果、ヒトスジシマカの場合はどの要因の効果も有意ではなく、補正重相関係数の二乗値は0.067であった。これに対して、リバースシマカでは、植生のこんもり度と裸地の程度、放逐地点からの距離の効果は有意であり、補正重相関係数の二乗値は0.971と非常に高い値が得られた。
|