研究概要 |
平成8年度における研究で、レンサ球菌サイクリックADPリボース(cADPR)代謝酵素遺伝子の一部(120bp)をクローニングしたことを報告した。その断片をプローブにして行ったサザンブロット解析をもとに、染色体遺伝子プラスミドライブラリーを構築した。次に、プラスミドベクター上に設計したプライマーと120bpDNA断片上のプライマーによりsingle specific primer-PCRを行い、その増幅産物の塩基配列を決定した。目的遺伝子は全長1,353bpで451アミノ酸残基の分子量50,703の蛋白質をコードしており、精製酵素のSDS-PAGE上の分子量に一致していた。さらに精製酵素のN末端の比較から、37アミノ酸残基のシグナル領域を持つことが推定された。また、このレンサ球菌cADPR合成・分解酵素は一次構造上、cADPR代謝活性を示す酵素である、哺乳動物リンパ球表面抗原CD38、骨髄肝細胞抗原BST-1やアメフラシADP-ribosyl cyclaseとの相同性は認められなかった。決定した塩基配列をもとに、PCRを用いて本酵素構造遺伝子全長をクローニングし、大腸菌内で発現させた。その結果、ウェスタンブロット解析にて元株と同じ位置にバンドが検出され、酵素アッセイにてNAD分解活性・cADPR代謝活性が確認された。以上のことからレンサ球菌cADPR合成・分解酵素は新しいタイプのcADPR代謝酵素であると考えられた。
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