研究課題/領域番号 |
08670313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
矢野 郁也 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60047008)
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研究分担者 |
韓 由紀 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30271183)
堀田 久子 (原 久子) 大阪市立大学, 医学部, 助手 (00165002)
岡 史朗 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (40160650)
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キーワード | 結核菌 / ファゴサイトーシス / ファゴソーム・リソゾーム融合 / コードファクター / グリコペプチドリピド / スルホリピッド / 食細胞機能阻害 / 病原因子 |
研究概要 |
細菌をはじめとする病原体が生体内に侵入した場合、一般的には生体側の排除機構として食細胞による貪食が起こり、引き続き食細胞内での殺菌が行われる。食細胞の機能分化を誘導する分子機構についてはほとんど知られていないが、この過程において食細胞に菌体がファゴソームとして取り込まれた後、最初に起こる現象は食細胞側のライソゾームが、菌体を包含しているファゴソームに癒合するphagosome-lysosome fusion (P-L fusion)であり、P-L fusionがおこって始めて食細胞内での菌体の融解という殺菌機構が完成する。しかし結核菌を始めとする抗酸菌などのように、食細胞により食菌された後も細胞内寄生という形で生存し続ける特殊な病原体も観察され、これらの菌には食細胞の殺菌作用を逃れる何らかの機序が存在することが予測される。 今回我々は抗酸菌をはじめ、様々な細菌細胞膜由来の脂質が食細胞のP-L fusionに対してどのような影響を与えているのか、脂質の構造との関連性を中心に検討した。まず始めにグラム陰性桿菌で好気性日和見病原性細菌であるSphingomonas paucimobilisが産生するユニークなSphingoglycolipidのうちの2種の糖脂質(GL-1及びGL-2)を単離し、ヒト末梢好中球及び単球の貪食活性に及ぼす影響をしらべたところ、GL-1及びGL-2はともに貪食能をたかめ、またphagosome-lysosome融合を著しく促進することをみいだした。またさらにこれと関連して動物酸性Sphingoglycolipidsも同様の促進効果を示し、これらのことから酸性Sphingoglycolipidが貪食細胞の分化促進に大きな役割を果たしていることが明らかとなった。
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