研究課題/領域番号 |
08670313
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
矢野 郁也 大阪市立大学, 医学部・細菌学教室, 教授 (60047008)
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研究分担者 |
韓 由紀 大阪市立大学, 医学部, 助手 (30271183)
堀田 久子 大阪市立大学, 医学部, 助手 (00165002)
岡 史朗 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (40160650)
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キーワード | ファゴサイトーシス / ファゴ・リソゾーム融合 / 病原因子 / ペプチド糖脂質 / コードファクター / 血清型4型GPL / Mycobacterium avium / M.tuberculosis |
研究概要 |
Mycobacterium avium-intracellulare complex(MAC)は細胞内寄生性細菌であり、ヒト単球あるいはマクロファージに貪食された後も排除されることなく細胞内で増殖し、病原性を示すことが知られている。また、MACは、細胞表層成分glycopeptidolipid(GPL)抗原の異なる少なくとも28種の血清型が存在し、AIDSにおいては特定の血清型、特に4型の感染頻度が高く、血清型と病原性の関係が注目されている。今回、我々はMAC血清型特異的GPL、特に4、8および16型GPLのヒト単球のphagocytosisおよびphagosome-lysosome fusion(P-L fusion)に及ぼす影響について検討し、さらに、その他抗酸菌に特有の糖脂質であるtrehalose 6,6'-dimycolate(TDM)、trehalose 6-monomycolate(TMM)、glucose 6-monomycolate(GM)及びsulfatideについても同様に比較検討した。4型GPLでcoatしたStaphylococcus aureusでは濃度依存的にphagocytosisの促進およびP-L fusionの顕著な抑制が認められた。また、8型GPLではphagocytosisの促進が認められたがP-L fusionの促進も認められ、一方、16型GPLではphagocytosis、P-L fusionとも影響が認められなかった。これに対して、TDM、TMMをcoatした場合にはともにphagocytosisおよびP-L fusionの抑制を認め、GMではphagocytosis、P-L fusionともに影響が認められなかった。また、sulfatideではphagocytosisの促進およびP-L fusionの抑制が認められた。以上より、MAC感染症における血清型間の病原性の違いに、GPLの単球によるphagocytosisおよびP-L fusionに及ぼす作用が関係している可能性が示唆された。また、TDM、TMMそしてsulfatideのような抗酸菌に特徴的な細胞表層糖脂質成分も単球の機能に影響し、病原因子として関与している可能性が示唆された。
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