研究課題/領域番号 |
08670323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細菌学(含真菌学)
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
多村 憲 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50027314)
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研究分担者 |
福原 正博 新潟薬科大学, 薬学部, 助手 (70238509)
浦上 弘 新潟薬科大学, 薬学部, 助教授 (80139732)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | Orientia tsutsugamushi / 恙虫病 / 病原性 / マクロファージ / TNF / 感染防御 / 血清型別 / 遺伝子型別 |
研究概要 |
恙虫病病原体には多数の血清型・遺伝子型変異株があり、且つマウスに対し強毒性を示す株と弱毒性を示す株の存在が知られている。本研究の前半部分では、本邦及び台湾で分離された44株についてその血清型・遺伝子型を同定し、その結果とマウスに対する病原性の関係を調べた。その結果、我が国での34株の分離株は4型、12亜型とその他の3株に分類されたが、台湾での10株の分離株はすべてが我が国の分離株とは血清型・遺伝子型を異にした。この事実から、この病原体の血清型・遺伝子型のVariationは極めて多岐にわたることが判明した。また、これらの血清型・遺伝子型とマウスに対する病原性の強弱の間に一定の関係があることも明かとなった。 本研究の後半部分では、強毒株及び弱毒株をマウス腹腔に接種したとき、強毒株はマクロファージ(Mφ)中で旺盛に増殖しその結果としてマウスを斃すのに対し、弱毒株はMφ中で発育が阻止され、マウスは生存することを見出した。このような両株の増殖性の差異はマウスから作成した滲出Mφの培養系でも観察された。そこでこの滲出Mφ培養系を使用して、生体の防御反応に重要な役割を演じているとされる、TNF-α,IL-1α及びNOの産生との関係を調べた。その結果、TNFの産生が強毒株では認められないのに対し、弱毒株では感染初期に一過性のTNF産生が見られること、培養系に抗TNF抗体を添加するとこれまで増殖できなかった弱毒株が弱いながらも増殖することが観察されたこと、培養系にTNFを添加した場合には、TNFが培地中に認められる間は強毒株も増殖が阻止されること、などが判明した。その結果、強毒株感染ではTNF産生を抑制してMφ中で増殖するが、弱毒株の感染ではTNF産生によりその増殖が抑制されると考えられ、これがマウスに対する病原性の強弱として現れていることが判明した。
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