天然型抗原非特異的サプレッサー因子(MNSF)をマウスT細胞ハイブリドーマの培養上清よりモノクローナル抗体を利用して精製した。イモビロンP紙上にブロット後、アミドブラックにて染色して目的のタンパク質を切り出し、自動アミノ酸配列解析装置にて18個のN-末端配列を決定した。この情報をもとにミックスオリゴマーを合成してRACE法にてMNSFαの部分cDNAを増幅した。単離したMNSFαcDNAは約650bpであった。RT-PCRにて解析した結果、MNSFαmRNAはコンカナバリンA(Con A)で刺激したT細胞で強く発現していたが、リポポリサッカライド(LPS)で刺激したB細胞では全く検出されなかった。Kinetics解析を行ったところ、24時間後にピークを認め、これまでの知見とよく一致した。これはもう一つのサブユニットであるMNSFβmRNAが常に発現しているのと対照的である。MNSFαの部分cDNAの塩基配列を自動解析装置で決定した。その情報から予想されるアミノ酸配列(すなわちポリペプチド)はこれまでに報告のない新しいものであった。ホモロジー・サーチにより、T細胞受容体(TCR)α-鎖に約40%の相同性を示した。この結果はMNSFαがTCRα関連物質であるというこれまでの仮説を強く支持するものでる。現在MNSFαの全塩基配列を決定中であり、近い将来MNSFαのリコンビナントを用いた実験により、さらに詳しくMNSFの作用機構を解明していく所存である。
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