研究課題/領域番号 |
08670374
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研究機関 | 国立小児病院 |
研究代表者 |
東 みゆき 国立小児病院, 小児医療研究センター・免疫アレルギ研究部・免疫研究室, 研究員 (90255654)
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研究分担者 |
八木田 秀雄 国立小児病院, 小児医療研究センター・順天堂大学・医学部・免疫学, 助教授 (30182306)
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キーワード | CD28 / CTLA-4 / T細胞活性化 / 免疫応答 / CD80 / 86 |
研究概要 |
1.骨髄移植モデルにおける共刺激分子群の発現および機能調節 (1)マウス骨髄移植における急性GVHD反応は、抗CD80と抗CD86抗体の併用投与により、致死効果を完全に抑制することができたが、リンパ球減少に代表される明らかな造血機能回復の遅延が認められた。(2)同様の所見がCD28欠損マウス脾細胞移入GVH反応でも認められ、抗体投与効果はCD80およびCD86のCD28への結合阻害による結果であることが確認できた。(3)GVHD反応の抑制効果が十分でなかった理由として、CD28シグナル以外のT細胞活性化制御分子の関与が考えられた。CD28欠損マウス脾細胞移入の系に抗CD154抗体を投与しCD40-CD40リガンド経路を阻害するとほぼ完全なGVHD反応の抑制が見られた。(4)CD28とリガンドを共有するCTLA-4の関与について検討した結果、CD28欠損マウスの系においても、GVHDマウスT細胞上にCTLA-4の発現が認められた。このCTLA-4の機能を阻害する目的で抗CTLA-4抗体を投与した結果、GVHD反応の悪化が観察された。 T細胞活性化シグナルにはCD28経路に加え、CD28非依存性のCD40L-CD40経路も大きく関わっており、同時にCTLA-4による制御シグナルも関与していることが明らかになった。これらの正負のバランスはリガンドであるCD80およびCD86の発現量と発現時期によって調整されていると考えられた。 2.CD80/CD86分子の機能 (1)CD80とCD86分子間でのTh1およびTh2細胞分化活性化に与える機能差が論じられているが、寄生虫(Nippostrongylus brasiliensis)によって引き起されるTh2細胞依存性生体反応モデルを用いてCD80とCD86の機能について検討した。抗原特異的なTh2細胞とB細胞の相互反応において、CD80ではなくCD86が重要な役割を果たしており、この相互反応はTh2細胞活性化のプライミングのみならず、すでに抗原刺激を受けたB細胞とT細胞の再活性化反応においても必要とされることが示された。(2)高発現させたCD80およびCD86遺伝子導入細胞と抗CD3抗体刺激系でのin vitro実験から、CD86刺激はIL-4およびIL-10産生を促すが、CD80刺激ではTh2サイトカインに対する増強効果はほとんど認められないことが明らかになった。Th1サイトカイン産生に関してはCD80とCD86間で有意の能力差は認められなかった。 Th2細胞の分化/活性化はCD86分子発現の影響を強く受ける可能性が示唆された。
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