ヌクレオバインディン トランスジェニックスマウスの作製 アクチンプロモーターを持ち、全身において強発現させるベクターpCXN2とメタロチオネインプロモーターを持ち重金属で発現誘導のかけられるベクターpMKの2種を用いた。マウスヌクレオバインディンcDNAを各ベクターに組み込み、マウス受精卵にインジェクション後、卵管内移植を行った。現在DNAを導入した卵より生まれたマウスが100匹ほどおり、今後尻尾よりDNAを抽出、サザンハイブリダイゼーションによりベクター導入の有無を確認後、臓器などの組織の変化等を観察する予定である。 ヌクレオバインディン ノックアウトマウスの解析 MRL/lprバックグラウンドのヌクレオバインディンノックアウトマウスとMRL/lprマウスの腫脹リンパ節からの粗抽出タンパク画分を、二次元電気泳動にかけたところ、ノックアウトマウスにおいて優位に増加している約43KDaのタンパクが見つかった。さらに同じ粗抽出タンパク画分を、ヌクレオバインディンを固相化したアフィニティーカラムにかけたところ、同様に43KDaのタンパクが高濃度に精製されることがわかった。150mMNaClで結合し、500mMではずれてくるこのタンパクの実体を知るべく、配列決定を試みたが、N末端はブロックされ検出できなかった。そこで現在V8プロテアーゼ、あるいは臭化シアンで部分分解を行い、その断片の配列を決定しようとしている。 一方MRL/lprバックグラウンドノックアウトマウスは、血管炎、半月形成型糸球体腎炎を高頻度で発症するが、原因は今のところ不明である。しかし、戻し交配も5代目となりバックグラウンドが90%はそろってきた状況において、高頻度に血管炎を起こすことが確認できたことは、モデルマウスの確立ができたものと考えており、今後も戻し交配を進める予定である。
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