研究計画2年度目にあたる今年度はカフェインの嗜癖形成に関与する遺伝要因以外の要因について検討を加えた。年齢18-19歳、医療短大看護科に所属する女性71名を対象としてアンケート調査を行ったところ、カフェイン飲料摂取習慣の形成頻度は年齢21-43歳の集団と比較して有意に低く、年齢が嗜癖形成に影響を与えることが推察された。また、カフェインで頭痛、胃痛などの不快症状の発症する者はカフェイン飲料摂取習慣が形成されず、身体症状の有無も習慣形成の要因となり得る。カフェイン飲料摂取時の状況としては、安息時の嗜好品として摂取するという割合よりも集中を要する作業を控えて疲労感や眠気を防除するためという割合が有意に高く、ストレスの起因となる作業はカフェインの嗜癖形成に影響を与えるという仮設を支持する。この集団の学業成績への執着度を3-9の7段階に分別し、さらにKG式日常生活質問法によりタイプA測定検査を行った。ロジスティック回帰分析により学業成績への執着度とタイプA度は危険率95%で有意に相関があった(オッズ比 1.00-1.08)。しかしこの2つの指標とカフェイン飲料摂取習慣には有意な相関は認められなかった(学業成績への執着度:オッズ比 0.87-1.73(p<0.23)、タイプA度:オッズ比 0.99-1.08(p>0.17))。さらに年齢の高い職業者の集団について解析を進める必要がある。
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