研究計画の最後の年度にあたる今年度は前年度に引き続き、カフェインの嗜癖形成に関与する遺伝要因以外の要因について検討を加えた。秋田市内の某女子短期大学に所属する女子学生115名(年齢18-20歳)を対象とし、学業成績への執着度、カフェイン飲料の摂取習慣、カフェイン飲料摂取時の状況等の質問項目を含むアンケートを実施した。また、KG式日常生活質問紙法によるタイプA度検査もあわせて行った。この結果、年齢とともにカフェインを毎日摂取する者の割合が増加する現象が観察された。また、摂取状況としては試験前などの集中を要する作業時に覚醒効果を期待して飲用するケースの多いことが観察された。これらのことからカフェイン飲料摂取習慣は年齢に依存して獲得される習慣であり、ストレスにさらされる機会が多い程、習慣が形成されやすいことが示唆された。前年度に引き続き、今回もタイプA度の高さと学業成績への執着度に有意な相関が見られ、KG式日常生活質問紙法によるタイプA度検査が達成感への執着を測定するために信頼性の高い方法であることが示唆された。学業成績への執着度を0-6の7段階に分別した場合、1段階執着が増す毎にカフェイン飲料摂取習慣を獲得する可能性は約1.29倍ずつ高まったが、有意ではなかった(p=0.09)。また、タイプA度検査成績はカフェイン飲料摂取習慣獲得に寄与しなかった。これらのことから、少なくとも若年成人者においてはタイプA度検査成績の寄与は認められないことが明らかになったが、学業や仕事への執着度を示すより直接的な指標を用いた場合、寄与の認められる可能性のあることが示唆された。
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