カフェイン依存症の作用機序を解明する上で、カフェイン飲料嗜癖形成に及ぼす遺伝的要因として、N-アセチル転移酵素代謝型との関連について検討した。調査対象は秋田大学医学部に属する学生、教職員45名(男子25名、女子20名、年齢21-43歳)であった。PCR法によって判別されたN-アセチル転移酵素代謝型の代謝の速い、中間、遅いの人数はそれぞれ24名、13名、8名であり、毎日コーヒーを摂取する習慣に代謝型の速い遺伝子が寄与する可能性をロジスティック解析法によって求めたところ、速い遺伝子1ゲノムあたり、オッズ比は3.18となり、代謝型の速い遺伝子が多い程、即ちN-アセチル転移酵素活性が高い程、連日コーヒーを摂取する習慣の高いことが示された(p<0.05)。 また、カフェイン飲料嗜癖形成に及ぼす環境要因として、タイプA行動特性を介したストレスによる誘起反応から形成される可能性を検討した。調査対象は秋田市内の女子短期大学生(看護系71名と英語・家政系137名、年齢18-20歳)であった。カフェイン飲料摂取頻度別のとタイプA尺度に有意差は見られなかったが、ストレス時(試験前)におけるカフェイン飲料摂取の有無別にタイプA尺度を求めたところ、カフェイン飲料を摂取する群のタイプA尺度はカフェイン飲料を摂取しない群に比較し有意に高かった。このことからカフェイン飲料嗜癖形成がタイプA行動を介したストレス反応により形成される可能性が示された。
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