本研究では、立位あるいは座位での作業に伴う下肢負担を生理面(下腿膨張)・生体工学面(足の動き)・精神心理面(自覚症状)にわたって総合的に評価するシステムの開発を目指している。今年度は、これらのデータの基本的な性状に関わる検討を行った。 1.下腿膨張:多チャンネルの電気的インピーダンス測定装置により最適測定部位の検討を行った。その結果、従来よく利用されていた下腿のもっとも太い部分(下腿中部)よりもやや上の部位(下腿上部)のほうが膨張しやすいことが判明した。ただし下腿中部は、安静時の膨張は下腿上部に劣るものの、運動による膨張軽減効果は現れやすいことが判明した。 2.足の動き:磁場により足の位置を2チャンネル測定できる装置で検討した。その結果、本法で確かに足の微妙な動きも測定可能なことは確認できたが、どの方向の動きの成分の有無が膨張抑制に有効なのかについては、今年度の検討でははっきり断定できなかった。 3.自覚症状:下腿を3区分して部位別にだるさ・はれ・痛みを記録し、立位負荷に対する応答を調べた。その結果、おおむね痛みは関節部に現れやすく、だるさやはれはそうでない部位に現れやすいことが判明した、ただ、当初は、だるさ→はれ→痛みの順に程度が増強することを想定したが、必ずしもそうとはいえなず、聴き方を区別することの価値は低いことが判明した。
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