研究課題/領域番号 |
08670397
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
齋藤 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (80004901)
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研究分担者 |
横尾 美智代 長崎大学, 医学部, 教務職員 (00336158)
伊藤 恵子 長崎大学, 医学部, 助手 (00284670)
有澤 孝吉 長崎大学, 医学部, 助教授 (30203384)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 尿細管機能 / 放射線被爆 / β2-マイクログロブリン |
研究概要 |
目的と方法: 放射線被爆者の尿についてβ2-マイクログログリン、クレアチニン、浸透圧を測定する。その成績を同年齢の本邦の一般成人、カドミウム土壌汚染地域住民(秋田県小坂町、長崎県対馬厳原町、富山県婦中町)、有機水銀暴露住民(熊本県津奈木町)と比較する。そして被爆放射線量との対比のなかで被爆者における腎機能、とくに尿細管機能異常の有無を明らかにする。 放射線健康問題はわが国の被爆者や、またチェルノブイリ、マーシャル群島などの放射線被爆者だけの問題だけではなく世界中の市民のポピュラーな健康問題となっている。本研究はこの問題に対する新しいアプローチである。 結果: 1) 熊本県津奈木町の有機水銀暴露歴をもつ65歳以上の住民187人の尿β2-マイクログログリン濃度を測定した。平均値は120マイクログラム/lであり、かつ1000マイクログラム/l以上の値を示した住民は存在しなかった。このことから水俣湾沿岸に居住し、過去に有機水銀暴露を受けた上記地域住民には尿細管障害は存在しないと結論された。 2) ウクライナ共和国チェルノブイリイの住民100人(内訳:6~9歳5人、10~19歳9人、20~29歳4人、30~39歳8人、40~49歳21人、50~59歳31人、60~69歳17人、70歳以上5人)の尿β2-マイクログログリン濃度は4~556マイクログラム/lの範囲にあり、平均値は56マイクログラム/lであった。この事実から原発事故で平均2レムの放射能被爆をうけたチェルノブイリイ住民には尿細管障害は存在しないと結論された。
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