ガス体化学物質としてオゾンを用いた吸入曝露実験を実施した。 1.Nitric oxide(NO)の関与 一群5匹の8週齢の雄ICRマウスに、NO合成酵素の阻害剤N-ニトローアルギニンを腹腔内に事前投与(100mg/kg、対照群は生理食塩水)し、1ppmオゾン(対照群:清浄空気)に4時間曝露させ、24時間後に気管支肺胞洗浄を実施した。その結果、NO産生を阻害した群ではオゾン曝露による好中球増加が抑制されており、内因性NOがオゾン吸入による炎症形成に関与している可能性が示された。NOは気管支弛緩作用を持つことから、今後はオゾン曝露による気道過敏性モデルにおけるNOの役割についても検討する必要がある。 2.Neuropeptidesの関与 一群6匹の8〜9週齢の雄Sprague-Dawleyラットに、サブスタンスPおよびニューロキニンAのレセプターに対する阻害剤を腹腔内に事前投与(対照群は一群4匹で、同量のVehicle)したのち、1ppmオゾン(対照群、清浄空気)に3時間曝露させ、5時間後に気管支肺胞洗浄を実施した。その結果、サブスタンスPおよびニューロキニンA阻害剤を投与したオゾン曝露群では、総細胞数・好中球数がオゾン曝露対照群と比較して有意に上昇し、総細胞数・好中球数・上皮細胞数・総蛋白質濃度が空気曝露群と比較して有意に上昇しており、ラットにおいてはこれらのNeuropeptidesが、オゾンの肺傷害性に対して保護作用を持っていることが示唆された。
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