1.オゾン曝露による気道過敏性モデルにおける内因性一酸化窒素の役割 平成8年度実施の研究で、内因性一酸化窒素産生を阻害するとオゾン曝露による好中球増加が抑制されたことから、内因性一酸化窒素がオゾン吸入による肺・気道系の炎症形成に関与していることが示唆された。内因性一酸化窒素は気管支弛緩作用も持つことから、本年度は、オゾン曝露によって誘起される気道過敏性に対する内因性一酸化窒素の役割について検討した。一群5匹の雌BALB/Cマウス(6週齢)に、一酸化窒素合成酵素阻害剤N-ニトローアルギニンを腹腔内に事前投与し、1ppmオゾンに4時間曝露させた。曝露終了24時間後に、メサコリン吸入に対する気道反応性実験を行い、気道抵抗(R_L)・肺ダイナミックコンプライアンス(C_<dyn>)を測定した。しかしながら、内因性一酸化窒素の阻害によってもR_L、C_<dyn>値に変化はなく、内因性一酸化窒素産生と気道反応性との関係は明らかではなかった。今後は、異なる測定系(測定システム・吸入物質・動物種/系)での検討が必要であろう。 2.研究成果のまとめ 2年間にわたり実施した研究の結果をまとめ、その意義を検討した。特に、ラットを用いた吸入実験モデルでは、肺のニューロペプチドがオゾンによる肺傷害の発生に対して保護作用を持つことが明らかになった。一方、内因生一酸化窒素の役割については、さらなる検討が必要と考えられた。
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