客室乗務員を対象として東行便(米国航路)と西行便(欧州航路)の機乗時の活動量と心拍数を各便2名についてアクティブトレーサーにより10分毎に継続的に記録し、帰国後は東行便35名、西行便40名の口腔内温度、及び自覚症状の変化を4日間に渡り観察した。併せて機乗時の作業環境としてジャンボ機B747の客室内の50Hz以下の低周波騒音、床振動、温度、湿度を継続的に記録した。口腔内温度からみられる機乗終了後の体温変化は一般地上職に比べて体温の頂期位相が2〜3時間前方に移動し西行便では後方に移動する。東行便では帰国後3〜4日で15〜16時に復するが西行便では4日目でも16〜18時までしか戻らなかった。症状としては全身の疲れ、目の疲れ、首肩の凝り、頭重、皮膚乾燥が70%を越える訴え率であった。身体活動量からみると東行便は活動状態が悪く、西行便では活動時間が少い。心拍変化は活動量に応じて増減を繰り返した。機内休憩時の心拍帰国後の安静時心拍のCV値((変動分散値)/(平均値))をみると機内休憩時は小さく帰国後大きくなる傾向がみられ自律神経緊張の亢進が示唆された。客室内の環境をみると50Hz以下の低周波騒音が常時93bBを超え、振動も約102dBの大きさを有していた。ちなみに高速バスでは低周波騒音は約100dB新幹線では低周波騒音98dB振動約90dBの大きさである。気温は24〜26℃の間に保たれているが、湿度は機乗前約50%であったのが機体上昇後降下し始め約1時間で20%以下となりその状態が継続し最低で12%まで低下した。ジェットラグと作業状態、作業環境は体温シフトが発表し東行便では前方へ西行便では後方へ頂点位相が移動し活動量では昼行便の東行便が夜行便の西行便より多い。共通の問題としては低周波騒音、機内の床振動、機内の乾燥が大きな問題を有しているようであった。
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