旅客機の客室乗務員は時差による影響に加え、機内作業及び作業環境の影響を受けて作業している。 口腔内温度の変化をみると東行便(北米航路)の乗務帰国後は体温の頂点時間が2〜3時間前方へ移動し、西行便(欧州航路)では4〜6時間後方へ移動する。東行便では頂点は帰国後3〜4日で回復するが、西行便では4日後にも回復しない例がみられた。症状としては全身の疲れ、目の疲れ、首肩の凝り、頭重、皮膚乾燥が70%を超える。身体活動量からみると、身体活動時間は東行便が長く、西行便が短い。心拍変化は活動量に応じて増減した。 客室内の環境は50Hz以下の低周波騒音が93dBを超え、床振動も102dBの大きさを有していた。室温は24〜26℃の間にあったが、気温は次第に低下し、約1時間では20%以下になり、12%まで低下した。 身体活動量の増加とともに、体表面温度は上昇し、筋電図の積分値が増加した。東行便は昼出発する便が多いので、西行便よりも活動時間帯が長い。一般には時差による身体リズムの変調は東行便では現地のリズムに同期しやすく、西行便では同期しにくく辛いといわれるが、機内作業者では作業時間の長さ、作業時間帯が影響を与えているようであった。 床振動は30〜125Hzに主成分を持つ振動がみられる。30〜40Hzはエンジンのタービンの回転により発生していた。筋活動は主として行動によって生じるが、床の揺れに応じても大きくなっていた。
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