研究課題/領域番号 |
08670416
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30251557)
|
研究分担者 |
西澤 哲 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 助教授 (90277658)
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1997
|
キーワード | 災害 / トラウマ / ボランティア / メンタルヘルス / 被災者 / 子ども |
研究概要 |
本研究では避難所でボランティアが被災者に接触し、記録した内容の分析を行い、震災直後の話題、長引く避難所における人間関係、思春期の子どもが精神保健上どのような問題を抱えていたかについて述べるとともに、心理学的手法を用いた子ども対象の「ヒーリング・キャンプ」前後におけえるGHQ変化の検討、被災者が仮説住宅に移って問題が慢性化していく時期の精神的環境と精神健康度についての参与観察による縦断調査、また、被災者ではなくボランティア自身についての構造化されないインタビューを行い分析した。 各調査に一貫しているのは、PTSDは長期的なメンタルヘルスの主要な課題ではないということである。震災直後、急性のトラウマへの反応が多く見られることが明らかになっているが、その後ボランティアに語られているのは、人間関係の問題、生活のふかん、身体的な具合の悪さである。 これは第一に、大規模災害における医学的診断名PTSDの発生率は高くない、即ち多くの比とは出来事の衝撃にも精神的破綻を来たさずいなんとか対処していくこと、第二に災害のメンタルヘルスを集団的かつ町的に捕らえる場合、社会的な適応の問題が全面に出てこざるをえないことがあげられる。 またトラウマへの反応はPTSDだけではなく、PTSDを一つの核として様々な精神的不適応(感情麻痺、軽躁、軽い抑うつ、不安、離人感、変性意識などの症状等)に表現されると考えられる。これらは臨床経験を持つ専門家でなくては非常に捉えがたい。それでもこの調査条件下、直後の資料で多くの急性ストレス反応を拾っていることは注目に値する。トラウマ・ケアを行うのならば直後の介入が有効であり、それはすべての人に起こる可能性がある急性ストレス反応を緩和し、後の不適応を防止するために行われると捉えるべきであろう。
|