研究概要 |
成人病予防のためには若年時からの適切な食習慣の確立が重要である。今年度は、東京商船大学男子学生のうち新入生(96名)および4年生(60名)を対象にして、動脈硬化性疾患の危険因子である血圧、肥満度、血清総コレステロール(T-cho)、HDL-cho、中性脂肪、脂肪酸構成、血漿フィブリノーゲンの測定と動脈硬化危険因子に影響を与えると考えられる喫煙、飲酒を含めた食習慣、運動習慣等ライフスタイルの聞き取り調査を実施した。 ライフスタイル調査の結果では、男子大学生、特に4年生は食事の不規則な者が多く、朝食を抜く者(78%)あるいは夜9時以降に食事をするもの(93%)が多かった。また4年生は1年生に比べて、魚介類の摂取が少なく、卵や乳製品の摂取も少なかった。これに対して生理検査および血液検査結果は、(1年vs4年):血圧(116/66mmHg vs 114/65mmHg),肥満度:%fat(20.1% vs 21.2%),T-cho(167.8mg/dl vs 172.3mg/dl),HDL-cho(58.4mg/dl vs 57.1mg/dl),Fiblinogen(225.2mg/dl vs 233.0mg/dl),n-3系不飽和脂肪酸の構成割合(6.5% vs 7.0%)には有意差を認めなかったが、n-6系不飽和脂肪酸の構成割合(41.7% vs 39.5%:p<0.01)n3/n6比(0.16 vs 0.18:p<0.01)で1年生と4年生の間に差を認めた。男子大学生においては1年生と4年生のライフスタイルに大きな差を認め、また脂肪酸構成の一部にも相違を認めた。来年度はさらに例数を増やしてライフスタイルと動脈硬化性疾患危険因子の相互関係を検討する予定である。
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