研究概要 |
岐阜県T市の50歳以上中高年者約2万名から無作為に抽出した500名に対して、訓練を受けた8名の面接員が訪問面接調査を実施し、1996年12月20日までに205名(40%)から回答を得た。面接には、WHOの統合国際診断面接(Composite International Diagnostic Interview,CIDI)1.1版のミシガン大学修正版(UM-CIDI)日本語版から、全般性不安障害、大うつ病、躁病およびアルコール・薬物依存症のセクションを使用した。CIDIの面接結果から、DSM-III-RおよびICD-10診断基準に基づいた全般性不安障害(不安神経症)、うつ病(大うつ病)、気分変調症(抑うつ神経症)およびアルコール・薬物依存症の診断を行なった。また人生の主要な出来事28項目の時期とその影響の程度を構造化面接によって評価する「社会年齢調査票」を開発した。このほか基本的属性、身体的健康、社会的支援を面接により評価した。調査では同時に、自己記入式質問票によって生活満足度(PGCモラール尺度)、社会活動の程度(社会活動調査票)、過去1週間の抑うつ症状(CES-D尺度)を測定した。 結果として、50〜64歳および65歳以上地域住民におけるうつ病の時点有病率は0.5%、生涯有病率は5.0%であった。うつ病の経験者は最近の出生コホートほど高かった。うつ病の既往者合計11名のうち1名は精神科外来に、1名は内科に受療していた。子供との死別および健康状態の悪化、特に脳血管障害および骨折を経験した者にうつ病が多かった。また、配偶者との死別を経験した者で、全般性不安障害の頻度が高かった。うつ病の既往のある者では、調査時点での主観的満足度および社会活動の程度が低く、抑うつ症状の得点が高かった。
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