研究概要 |
1. 研究目的 被爆高齢者の個人的,家族的ならびに社会的背景,精神的健康度を調査し,被爆高齢者のライフスタイルを把握する。さらに3年後の死亡状況を調査し,ライフスタイルと生命予後の関係を解析する。 2. 進捗状況 (1) 長崎大学医学部原爆資料センターの被爆者診療記録データベースに登録されている長崎市被爆者の基本情報,死亡原因,被爆者健診記録を整理し,不備な情報をあらいだした。 (2) 1992年の調査をもとに死亡と精神的健康度との関連についての予備的解析を行った。 (3) 個人の家族的,社会的背景および精神的健康度の関連を解析した。 3. 研究成果 個人の家族的,社会的背景および精神的健康度を把握するためのアンケート調査の結果を用いて生命予後との関連についての予備的解析を行った。また被爆体験と精神的健康度の関連解析を行った。 (1)生活状況と精神的健康度:精神的健康度が低い者は次のような生活状況をもつ者であった。身体的な健康状態が悪い、不規則な食生活、飲酒をやめた、運動をしない、一人暮し。(2)社会活動と精神的健康度:社会活動に参加しない者、外出が少ない者、友人との交流が少ない者は精神的健康度が低かった。(3)1992年調査した対象の5年間の死亡と精神的健康度の解析結果では、精神的健康度の低い者は死亡のリスクが高かった。今後の追跡を実施してこの結果を確認する必要がある。(4)多変量解析の結果、精神的健康度と関連する項目は家事援助、交流、団体加入、健康と被爆との関係を考えるであった。本調査実施から観察期間は1年半であり死亡との関連を分析するには短い。研究期間終了後、継続して調査対象者を追跡する必要がある。
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