研究概要 |
(1)長崎における児童の環境認識マッピング;長崎市のB小学校4,5,6年生(計200余名)を対象に、普通の生活を送っている児童の環境認識を調べることを試みた。予備的な聞き取り調査の結果、特定の災害(環境に関連した)に罹災した児童の場合のような明確なキーワードを設定できないことが分かったので、まず第一段階としての“環境イメージの自己形成"に関しては、自由記述法を採用した。「(1)閉眼した状態で、自分の身の回り、地域などの環境をイメージしてもらい、それに沿って、(2)思い浮かんできた事柄を自由記述する」という方法で、キーワードの設定は個人別に行った。その後、(3)各自が想起したキーワードを自分の価値観で分類する、という作業を行い、キーワードからの思考の発展を試みた。この第一段階で得られた記述は大学に持ち帰り、迅速集計によって集団としての特徴を把握したのち、2週間後のフィードバック(第二段階)に臨んだ。フィードバックの結果、他者の環境認識に対する共感の発生が認められた。 (2)研究1年目の結果との比較;研究1年目に得られた地震災害時の環境認識(明石市A小学校)はいずれの対象児童においても生活に密着した具体的なものであった。今年度に得られた通常環境下での環境認識(長崎市B小学校)は個人差が大きく、生活との関連も希薄な傾向が認められた。また、学校側がいわゆる環境教育を熱心に行うほど、児童における環境に関連した知識は増える一方で、環境の捉え方が画一化する危険性も伺えた。
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